強皮症患者会Linkage 発足記念『治験セミナー&ピアカフェ』患者参画の重要性を示す
2024年8月3日、強皮症患者会Linkageは株式会社ピアハーモニーの協力のもと、記念イベントとして「治験セミナー&ピアカフェ」を開催しました。本イベントでは、治験に関する理解を深め、患者参画の意義を考える機会が提供され、会場とオンラインを合わせて31名が参加しました。
治験セミナーのプログラムとその内容
8月3日に開催された「治験セミナー&ピアカフェ」には、会場に21名、オンラインで10名の参加者が集まり、治験と患者参画の重要性について学びました。講師にはJPPaC前理事長の畑中和義氏とInspire Japan WPD代表理事の奥瀬正紀氏を迎え、治験に対する正しい理解を深めるための講演が行われました。さらに、ピアカフェでは参加者同士が治験に関する経験談を共有し、実践的な知識や情報を得ることができました。
講演1「患者参画とは何か」
講師:畑中和義氏(JPPaC前理事長)
患者の経験的知識は社会の共有財産であり、患者が医療や薬の開発に積極的に参加することが医療の進展に不可欠であると説明されました。特に、患者団体と製薬企業とのパートナーシップの重要性が強調され、患者の声が医療にどのように貢献できるかが語られました。
講演2「医療用医薬品の研究開発について」
講師:奥瀬正紀氏(Inspire Japan WPD代表理事)
医薬品が開発されるまでのプロセスと、治験がその中で果たす重要な役割について解説されました。治験に対する誤解を解き、患者が安心して参加できるようにするための法的保護や安全性についても詳しく述べられました。
参加者からは「治験の安全性について知ることで不安が軽減された」「患者参画が医療の未来に重要であると理解できた」との声が寄せられ、講演内容が非常に好評でした。
治験トーク:患者たちが語るリアルな治験体験
治験トークでは、お弁当を食べながら4名の方から治験に関する体験談のお話を共有いただきました。
- 現在治験に参加中の患者さん「治験薬が承認されたとき、自分が協力したことが誇らしい」
- 参加を断念した患者さん「通院頻度を考慮し、参加を断念しましたが、条件に合う治験があれば再挑戦したいです」
- 診断後すぐに治験参加を考えた患者さん「治療法がないと言われ、治験に参加しようと思いましたが、情報が少なく困りました」
- 治験参加で救われた患者さん「信頼できる医師に出会い、治験に参加したことで人生が変わりました」
オンライン参加者からも、画面越しに熱気が伝わってきたとの感想が寄せられ、特に治験トークでの生の声が非常に参考になったとのことでした。このセッションを通じて、治験の安全性や、患者が治験を中止する際の権利についての理解が深まり、治験が診療と研究を兼ね備えたものであることを再確認する機会となりました。また、治療法がないと診断された患者が治験に参加しようと考えたエピソードを通じて、治験の重要性と患者参画の意義が改めて強調されました。
ピアカフェの様子
ピアカフェは患者同士が、5つのグループに分かれ、自己紹介(抗体や診断年、困りごとなど)やご自身の体験談などを共有しました。
難病は患者数が少なく、同じ病気の人と対面で会う機会が少ないため、「初めまして」でも共通点が多く、非常に盛り上がっている様子が見受けられました。
治験セミナー&ピアカフェの様子
Linkage会員メンバー 山田花子氏作
治験セミナーや治験トーク、ピアカフェの様子は、Linkage会員メンバーである山田花子氏がまとめてくれました。
ピアハーモニーの役割:強皮症患者さんのためのピア相談室運営とLinkageの支援
株式会社ピアハーモニーは、Linkageの活動を支援し、「強皮症患者さんのピア相談室」を運営しています。この相談室は、患者が自身の経験を共有し、互いに支え合う場として機能しており、Linkageに運営協力をお願いしております。
今回の治験セミナー&ピアカフェイベントでも運営面のサポートをはじめ、患者が安心して参加できる環境を提供し、治験への理解を深める貴重な機会を創出しました。
イベントの総括と今後の展望
今回の「治験セミナー&ピアカフェ」は、Linkageの発足記念イベントとして、治験への理解を深めるだけでなく、患者同士の絆を強める貴重な場となりました。ピアハーモニーとLinkageは、今後もこのようなイベントを通じて、患者参画を推進し、医療の未来に貢献していく予定です。
特に、患者の声を集め、医療の現場に反映させる活動をさらに強化し、多くの患者が安心して治験に参加できる環境を整えていくことを目指しています。
強皮症患者会 Linkageについて
Linkageは、強皮症患者とその家族をサポートし、患者の立場から医療に貢献するためにLINEオープンチャット「強皮症患者さんのピア相談室」に参加する有志によって設立された患者会です。
2024年6月発足以降、全国の会員が患者交流会「ピアカフェ」を各地で開催しています。
LINEオープンチャット「強皮症患者さんのピア相談室」には、数百人の患者が参加しており、豊富な経験と情報が蓄積されています。
Linkageは、患者同士の交流と学びを促進し、医療者や関係団体との連携を強化することで、患者の医療参画を目指しています。また、厚生労働省強皮症研究班との連携や治験への協力を通して、医療の課題解決に取り組んでいます。
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