2026年8月から高額療養費制度が見直され、自己負担限度額や年間上限の仕組みが変わりました。乾癬は生物学的製剤など高額な薬を長期にわたって使う患者さんが多く、医療費について考える機会の多い疾患です。
株式会社ピアハーモニーは、一般社団法人日本乾癬性疾患協会(インスパイア・ジャパン)と共同で、2026年2月に「乾癬の医療費に関する調査」を実施しました。本調査は乾癬の患者さんが医療費についてどのように感じ、治療の選択にどう影響しているのかという現状を把握することを目的としています。制度が見直された今、あらためて調査の要点をご紹介します。
調査概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 乾癬と診断された患者さん |
| 方法 | Googleフォームによるウェブアンケート |
| 期間 | 2026年2月10日~2月28日 |
| 募集 | 乾癬LINEオープンチャット、乾癬患者・家族パネルへのメールマガジン、X(旧Twitter) |
| 回答数 | 86名(うち生物学的製剤の利用者43名) |
| 実施 | 一般社団法人 日本乾癬性疾患協会(インスパイア・ジャパン)、株式会社ピアハーモニー |
「開始月の医療費が10万円程度」と言われたら ― 約9割が治療を躊躇
調査の中で最も特徴的な結果が得られたのが、この設問です。
もし新しい治療を提案され「開始した月の医療費の支払いが10万円程度になります」と伝えられた場合、その治療をどれくらい躊躇しますか?
高額療養費制度を利用していない乾癬患者47名の回答は、「非常に躊躇する」70.2%、「やや躊躇する」19.1%。あわせて約9割(89.4%)が治療をためらうと答えました。「全く躊躇しない」は4.3%でした。

効果が期待できる治療であっても、開始時にまとまった自己負担が生じることが、治療を始めるかどうかの判断に大きく関わっている様子がうかがえます。乾癬の治療では、生物学的製剤の導入時に投与間隔が短く、初月の自己負担が高くなりやすいことも背景にあると考えられます。
新しい薬への期待と、医療費への不安が同居している
新しい薬を提案されたときに考えること(86名・複数回答)では、「症状が良くなることを期待」が77.9%で最多でした。一方で「医療費が上がることを心配」が61.6%と、副作用の心配(55.8%)を上回っています。患者さんは新しい治療に期待を寄せながら、同時に費用面の不安も抱えていることが分かります。

また、高額療養費制度を現在利用している39名に「上限が引き上げられることへの不安」を尋ねたところ、「非常に心配がある」が74.4%、「やや心配がある」を含めると87.2%でした。調査時点では見直しの議論が進められている最中であり、先行きが見えにくい状況での回答であったことを付記します。
患者さんの声(自由記述より抜粋)
- 「効果を期待できる薬だとは知っていても、経済的なことを考えると手が届かない」
- 「症状が良くもなく悪化もなく、薬を変えてみたいと思うが医療費が負担になり、踏み出せないでいる」
- 「多数回該当の制度は維持してほしい」
- 「患者の経済的負担は増加する一方だと感じていますが、日本の保険診療を継続するためには、致し方ないとも感じています」
自由記述には、治療費の重さや将来への不安を率直に語る声が多く寄せられた一方で、制度を維持していくことへの理解を示す声もありました。
調査結果の詳細(統計版・自由記述版)は、日本乾癬性疾患協会のウェブサイトで公開されています。
▼調査結果の詳細:https://japd.org/note/questionnaire/20260416.html
ピアハーモニーは、患者さんが自身の医療費の仕組みを正しく理解し、主治医と治療の選択について安心して相談できる環境づくりが大切だと考えています。本調査の結果が、患者さん・医療者・関係者の皆さまが乾癬の医療費について考える際の一助となれば幸いです。
共同調査パートナー:一般社団法人 日本乾癬性疾患協会(インスパイア・ジャパン)
本調査は、一般社団法人 日本乾癬性疾患協会(インスパイア・ジャパン)と共同で実施しました。インスパイア・ジャパンは、乾癬の患者さんとご家族が安心して生活できる社会の実現を目指し、疾患啓発・情報発信、患者・家族支援、アドボカシー活動、患者参画の推進に取り組んでいる団体です。
本調査の結果は、第42回日本臨床皮膚科医会総会でも発表されました。
▼日本乾癬性疾患協会(インスパイア・ジャパン):https://japd.org/
乾癬コミュニティ「乾癬 患者・家族の相談室(ほっと乾癬)」について
ピアハーモニーは、乾癬の患者さんとご家族、支援者が匿名・無料で参加できるLINEオープンチャット「乾癬 患者・家族の相談室(ほっと乾癬)」を運営しています。治療や医療費のこと、日々の暮らしの工夫などを、同じ病気を持つ仲間と気軽に話せる場です。本調査の回答募集もこのコミュニティを通じて行いました。
▼コミュニティの紹介・参加はこちら:https://hotto-kansen.peer-harmony.com/

ピアハーモニーの患者コミュニティ運営について
株式会社ピアハーモニーは、難病・希少疾患を対象としたLINEオープンチャットでの患者コミュニティを10疾患以上で運営・支援しています。患者同士が安心して話せる場をつくると同時に、そこで語られる声を医療従事者・製薬企業・医療行政に届ける活動を行っています。
本調査に関するお問い合わせ、データのご利用については、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
▼お問い合わせ:https://peer-harmony.com/contact/

